オチのない話。

学校の帰りに自転車で帰る途中なんてことない普通の信号に捕まった。
その信号は三叉路にあるもので今ちょうど自分の渡る信号の番が終わったところだった。
自分の信号の番を一周してくるまで待つしかなかった。
 
すると後ろからブツブツと独り言を言う子供の声が聞こえた。
 
自転車に乗ったまま振り返り相手の顔をのぞくと、その愛らしい顔をした子供は俺に向かって話しかけてきた。
 
話しかけては来たのだが何を言っているのかが理解できない。

「すぐ近くにある(俺の後ろの方向を指指して)○×医院(聞き取れなかった)に行きたいんですけど、行ってくれませんか?」 
恐らく少年はそんなことを言ったのだが、この界隈に病院など一軒もない。
 
俺はもう一度聞き返したのだが、やっぱり良くわからなかったので混乱した。 
 
そうこうしてる内に目の前の信号が青に変わり俺はペダルに足を掛けた。
後ろで子供が「バイバイ」と言った。
俺は後ろは確認できなかったが右手を軽く振ってそこを後にした。
 
なんの意味も無いような、どうしてもそこからなにかを読み取ることができないような、まるで夢の中みたいな三分間だった。